2010年11月18日木曜日

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来月の学会報告論文の最終稿を仕上げ、討論者の先生、座長の先生方に提出する。見直せば見直すほど、改訂したいポイントが出てくるのだけど、「締め切りを守る」という自分の中でのルールだけは守りたい。

次は報告用のスライドを作成しなければならないが、その前に投稿直前段階のバツイチ(一度リジェクトされている、の意)の論文を仕上げてしまおう。

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夕方、僕の元基礎ゼミの学生さん2人が研究室を訪ねてくれた。ちょうど僕は、次の授業のために慌てて研究室を飛び出すところだった(しかも遅刻しそうな時間)ので、「ごめん、これから授業あるから!」と言うと、彼らも「僕らもありますよ」などと、さらりと言う。


…僕はまだ、自分の勤める大学の時間割をよく理解していないようだった。まだ次の授業まで20分弱あった。

2010年11月16日火曜日

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一日集中したおかげで、何とか論文の改訂を(一応)終えた。後は印刷して2日ほど空き時間に目を通して、誤字脱字のチェックをするだけとなった。校正業者に送るのは、投稿の直前にしよう。

さほどpathbreakingな論文ではないことは自分でもわかってはいるが、それでも中堅の海外査読誌あたりには十分掲載可能なレベルであると(捕らぬ狸の…)思っている。早くどこか落ち着き先(掲載先)を見つけてあげて、次の研究に取りかかりたい。

2010年11月15日月曜日

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講義1コマ、演習1コマ。

夕方、僕が指導している院生のK君が、研究室訪問。長く就職活動に苦労していた彼にも、ようやく内定を得られたようで、僕も心の底からの喜びを感じた。おめでとう、K君。

夜は来月報告予定の論文の改訂を進める。これまでの改訂を通じて、ずいぶんと見通しの良い論文になってきたように思う。今となってはこの改訂前の状態で、よくぞある雑誌に投稿などしたものだ、と自分が恥ずかしくなる。頂いたレフェリーレポートや学会報告での諸先生方のコメントのおかげで、ずいぶんと良くなった。あと2日で完成させる予定。1分1分を大切に使って、良いものを仕上げたい。

2010年11月14日日曜日

プロットのやりかたあれこれ

Mathematicaのメモ書き。

ある変数 f(a,b) と g(a,b) があり、ともにパラメータ a と b の関数であるとする。
このとき、この変数 a と b の大小関係は、パラメータ a, b の値に依存する。そして f > g となるのは(もしくは f < g となるのは)、aやbがどのような値をとるときなのか?をグラフィカルに表示したい場合は

ContourPlot[ f==g, {a, min, max}, {b, min, max} ]

で、 f = g ラインを横軸に a 、縦軸に b のグラフで表示してくれる。

(Solve[ f==g, b ] として、出力された解 b=z(a) を、Plot[ z(a), {a, min, max} ] とする場合よりも、ContourPlot を使うやり方はずいぶんと楽。当たり前のことだが、時々忘れてしまうのでメモ書き。)

2010年11月13日土曜日

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少し眠りすぎたよう。

学会報告用の論文の改定。その過程で予定していなかったモデルの一般化を、論文の最後に extension として含むことにした。そういう急な変更の為に、締め切りまでの改定作業はより困難なものになってきた。それでも何とかまだ時間はある。時間をより効率的に使って、なんとか仕上げたいと思う。

何かを得る価値は、(マージナルには)それを得る為に犠牲にしたものの価値で測られる。これは「機会費用」の概念で、経済学では最初に学習するべきものだけど、自分の時間の使い方を当てはめて考えると、いつも新しい発見と驚きをもたらしてくれる。

2010年11月12日金曜日

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会議が一つ、その後論文の改訂。

来月の応用地域学会で報告させてもらう論文の改訂作業を行う。Working Paper化した今のバージョンから、大幅に内容を追加…ではなくて、逆に「削り落とす」という作業を行う。現バージョンは「あれもこれも」とやり過ぎていて、セールスポイントがぼやけてしまっているので、そういう選択をすることにした。削ぎ落とされた部分は、別の要素を加えて、違うペーパーにしようかと考えてもいるが、もう役目は無いかもしれない。僕の興味はもう、完全に別の論文に移りかけているからだ(こまった性格です)。

貿易と環境の分野で著名なScott Taylor教授から僕のところに、ハードコピーで2本の論文が郵送されてきた。どちらもforthcoming paperらしく、会議中に読んでみるととても面白い論文だった。一つはアメリカのバッファローが消えた理由について(こちらにまとめ記事)、もう一つは環境クズネッツ曲線がシンプルなソローモデルで導出できるという論文(こちらの追記にまとめ)だった。どちらも、理論と実証を組み合わせた研究である。応用理論は実証と組み合わせて売らなければいけない時代になってきたのだろう。

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先日、このブログにも書いた『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』の著者のニコラス・クリスタキスが、TEDでプレゼンテーションを行っていることを知った。リンク先は以下。

The Hidden Influence of Social Networks

How Social Networks Predict Epidemics

早速高画質バージョンをDLして視聴する。とても面白いし、なにより聞き取り易い英語が嬉しい。

アメリカの野生バッファローはなぜ消えた?

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Taylor, S., "Buffalo Hunt: International Trade and the Virtual Extinction of the North American Bison", American Economic Review, forthcoming.

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16世紀には、北アメリカには2500万〜3000万頭の野生バッファロー(アメリカンバイソン)が生息していたのだが、19世紀には1000頭あまりに激減したことはよく知られることである(Wikipediaリンク)。これに関しては、アメリカ軍隊やネイティブアメリカンの狩猟や、または大陸横断鉄道建設の邪魔になったということが要因として知られている。

著者のScott Taylorはこの現象に対して、国際貿易の理論、そして国際貿易の統計を用いた実証的な分析を通して、従来の説明とは違った要因を提示している。それは以下の3つである。

1. (当時の資料が示す)バッファロー関連製品の価格が、供給量の変化に対してほとんど変化しなかった(つまり、バッファロー関連製品の需要の価格弾力性が非常に高かった)こと。言い換えれば、バッファローが大量虐殺されて市場に多く供給されても、市場価格がそれほど下落しなかったことが、ハンターたちに大きな狩猟のインセンティブを与えたという説明を可能にする。
2. 鞣し(なめし)技術の進歩によって、バッファローの皮革が商業価値の高いものに商品化できるようになったこと。
3. バッファローの狩猟にたいする規制が政府によってなされず、オープンアクセス状態であったこと。

1.2.に関しては、ヨーロッパでの産業用皮革製品への需要と、ヨーロッパでの鞣し技術の発展が大きく影響し、3.に関しては、アメリカ政府の失策であることから、「野生バッファローの激減の要因は、国際貿易を通じたヨーロッパとの関係とアメリカの政策にある」ことを示している。

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論文の前半はシンプルなrenewable resourceの理論モデルの提示、後半が実証的なデータやファクトの提示と分析という構成。実証パートは割と大雑把なものだけれど、「歴史的な事実に理論とデータで新しい見方を提示する」という研究は、読んでいてもやはり面白い。AERにforthcomingであるらしいが、それもうなずける。

(著者のScott Taylor教授からご親切にもハードコピーを郵送いただいたこともあって、ここで紹介させていただきました。)

2010年11月10日水曜日

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講義1コマ、演習1コマ。

iPad用のスタイラス(プリンストンテクノロジー PIP-TP2B)が届いた。アンチグレアの液晶保護フィルムを貼ったiPad(僕のiPad)上では、サラサラとしたとても素晴らしい書き味に驚く。

講義の時に、ホワイトボードの代わりになるかどうかを試す為に、少し書いてみた(内容は租税の帰着に関するものを適当に書いてみた)。試し書きなので白黒だが、もちろんカラーで書くこともできるし、PenultimateというiPadアプリは、書いたものがそのままVGA出力されてスライド投影されるので、完全にホワイトボードの代用となりうる(しかもUndo&Redoができたり、手書きノートをPDFやPNGで保存&メール送信もできる)。素晴らしい。

パワーポイント(やKeynote)で講義をすることのメリットは、学生さんが後から自力で復習できること、字がきれいなこと(僕のように字が下手な人間にとってはこれは意外に重要)。しかしデメリットもある。それはリアルタイムに図が描かれたり数式展開がなされたりする状況を、学生さんが体感することができないことだ。板書はその点において優位性がある。iPadで手書き投影がスムースにできれば、板書の利点と、書かれた物の保存(&配布)という2つの利点を活かすことができる。難点は、左の手書きノートを見ればおわかりのように、「字の汚さ」であること、これは間違いない(笑)

2010年11月9日火曜日

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関西に帰ってくる。通常通りの一日。

夕方、卒業生のMくんが研究室に来訪。メキシコに旅行に行っていたらしく、お土産にメキシコの(スペイン語の)音楽CDを頂く。早速パソコンに取り込んで(今も)聴きながら仕事をしているが、ナイロン弦ギターの音色がとても優しく、心落ち着く音楽だった。ありがとうMくん。


ここから年末にかけて、とても忙しい日々が続きそうな感じがする。それは自分が望んでいることでもあるので、全力を出して、良い形で信念を迎えたいと思う。

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最近移動中に読んでいる本

『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』

が、とても面白い。今年読んだ本の(個人的)ベスト10に入れちゃいます。他のエージェント(個人、地域、国家、団体など)との関係は、つながり(ネットワーク)の強さや、ネットワーク上の「位置」も重要である。例えばある国家Aにおける政策が他の国家Bに及ぼす影響を考えても、該当する2国間ABの関係だけを見れば良いというわけではない。AとBともつながっているC国を経た影響も考える必要がある。つまり、A→Bという経路だけでなく、A→C→Bの経路も考慮しなければならない。だからB国とC国がつながっているかどうか(またはA国とC国がつながっているかどうか)、さらには、つながりの広がりの中でのA,B,C国の位置を、見落とすことができないものなのだ。当たり前のことだが、見落とされがちな議論である。

2010年11月5日金曜日

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朝から会議、午後も会議。

午前中と午後の会議の間にも、ゼミの学生さんが企画書を持って研究室に来てくれたので、目を通す。たった一晩で、随分と洗練されたものに生まれ変わっていた。昨日学生さんにアドバイスしたWEBサイトの技術も、うまく使われている。期待する以上に成果を出してくる僕のゼミ生さんたち。僕の方も、気持ちがワクワクする。

学生さんの成長ぶりを見ていて感じたのは、彼(彼女)らに指導するにあたって、もちろん褒めることも大切であるし、叱ることも大切だと思うのだけど、やはり一番大切なことは、彼(彼女)らの成果を「期待すること」「信じること」だと、強く思った。僕は彼(彼女)らが、もっともっと出来るようになる、と心の底から信じている。そういう僕の気持ちは、たとえ目に見える行動が「叱る」であっても「褒める」であっても、同じように伝わって、その両行為に大した効果の差を生み出さないような気がする。つまり、指導方法にあれこれ頭を悩ませる必要はない、のかもしれない。

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この週末、プロ野球日本シリーズの決着がつく。僕は(今は)特に応援している球団はないけれど、落合博満は昔から大好きだ(一時期、中日ファンだったこともある)。これは否が応でも、落合博満を応援せざるを得ない(笑)

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レフェリーレポートの締め切りが迫っている。早く書き上げて、自分の研究も仕上げてしまいたい。夜はまだまだこれから。

2010年11月4日木曜日

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講義1コマ、演習1コマ。

夕方の講義が終了後、先週ゼミナール大会に出場した2チームの学生さんたちと研究室で打ち合わせ。
12月に行われる多大学が出場する、より大きな大会出場に向けての企画書作成のために、夜遅くまで作業する。自分のゼミの学生さんのプレゼンテーション能力の高さに、先週驚いたばかりなのだが、企画書作成などの資料作成技術の高さにも、驚いた。とても良い企画書の案を見せてもらった。

もっと企画書の見栄えを良くする為に、学生さんに以下のホームページを参考にするよう、アドバイスした。

伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン

上記のサイトは、僕も頻繁に見させてもらう、とても良いサイトだと思う。書籍化されたら必ず欲しいくらいだ。

結局夜遅くまで学生さんたちは作業をしていたようで、帰りに何人かでお好み焼きを食べに行った。

2010年11月3日水曜日

1103

大学の研究室に来て、丸一日論文の改訂。

約半日をMathematicaで綺麗なグラフを描くのに費やしてしまった。Version Upしてから、グラフィックス関係のコマンドに少し変化があるらしく、前のバージョンのコードが通らない。色々と調べてみると、確かに新しいバージョンの方が合理的なプログラム方法になっているのだけど、あまりこういう変更をしないで欲しいなぁ…。

少し時間の使い方が緩慢になっている気がする。丸一日を研究時間に充てられる日によく見られることだ。改善しなくちゃ。



写真は大学のイルミネーション。

2010年11月2日火曜日

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姫路のとある高校まで出張講義。

高校1, 2年生対象だと言うことで、身近な現象から経済学的な思考法を知ってもらおうと思い、3つのなぞなぞを学生さんに投げかける。


『コンビニのアルバイト募集中のチラシにある「昼間と深夜の時給」はどうして違うのか?』

『スーパーマーケットのレジ係は、お金の管理というとても大切な仕事なのに、どうして昨日今日入ったばかりのパートのおばちゃんに任せているのか?』

『どうして「やるぞ」と決めたことがなかなか守れないのか?』


一つ目の謎は価格決定の話に、二つ目の謎は代理人の役割に関するゲーム理論的な話に、三つ目の謎は双曲割引に関する行動経済学の話に結びつけて、経済学の懐の深さをアピールしたつもりだ。

帰りに姫路城でも見て帰ろうかと思っていたけれど、抱えている仕事が未完のままでは気持ちよく観光できないような気がして、結局直帰した。僕の懐はそれほど深くないらしい(笑)

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ある人から貸してもらった本がとても面白かったので、原著で読みたくなり注文する。(Amazonリンクはアフィリエイトではありません)

"Leadership and Self-Deception: Getting Out of the Box" [Amazon Link]

"The Anatomy of Peace: Resolving the Heart of Conflict" [Amazon Link]

普遍的な、至極当然なことを詳しく詳しく説明するということの効用が、模範的に提示されているようで気持ちが良い。(経済学の本ではありません。)

2010年11月1日月曜日

1101

講義1コマ、演習1コマ。夜は4回生ゼミ生さんと飲み。明日の姫路での高校出張講義の準備。

RSS配信され、未読のままの論文に目を通す。その数120ほど。自分の研究やその他の仕事に追われて、新しい研究のキャッチアップを怠ってはいけないなぁと実感。

iPhoneにしてから、移動中でも仕事が容易にできるようになった。ReederというRSSリーダーのアプリで、Google Readerを読み込ませている。Google Readerには、数多くのジャーナルのforthcoming articleのRSSを登録しているので、いつでも最新の研究の概要をiPhoneで見ることができる。興味のある文献があれば、リンクをevernoteに送っておき、後でDLして、PAPERSで管理する。するとiPhoneでもPCでもiPadでも、PDF形式で全文閲覧できる(論文への書き込みメモも同期される)。

このような便利なツールのおかげで、僕の生産性が高まるのは嬉しいことなのだけど、同時に研究者間の競争は一段とシビアなものになるのだろう。