2009年4月18日土曜日

「類は友を呼ぶ」程度を考慮した囚人のジレンマ

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Bergstrom, T.C., (2003) The Algebra of Assortative Encounters and the Evolution of Cooperation, International Game Theory Review 5, 1-18.

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Prisoners' Dillema(囚人のジレンマ)の集団進化ゲームヴァージョンを考える.もし,ペアリングがランダムであるならば,協力戦略をとる者が集団内にいかなる割合存在しようとも,裏切り戦略は高い利得をもたらし,時間の経過とともに集団全体が裏切り戦略をとる者となる.

しかし,もしマッチングがassortativeならば(つまりペアリングがランダムではなく,同タイプの者がマッチしやすい環境ならば),違う結果が起こりうる.

この「マッチングがassortativeである程度」を index of assortativity として定義しましょう,という論文.
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この「マッチングの非ランダム性による均衡の変化」は,例えば今話題のSamuel Bowlesによる "Microeconomics" にも,"Endogenous Preferences (p.377)" として説明されている.Bowlesの場合の index of assortativity は,集団の構成に対して一定と仮定されているが,Bergstrom (2003)は一定ではない場合も考慮できる一般性の高いものである.

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「ペアリング(マッチング)がランダムでない場合」,特に「同タイプの者がよりペアになる確率が高くなる」という状況は,現実への適応性の高い状況設定である(例えば assortative matingにかんするNY Timesの記事を参照).

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この index of assortativity については,Bergstrom (2002) Journal of Economic Perspectives にも解説がある.