2010年12月2日木曜日

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講義1コマ、演習1コマ。

卒論シーズン真っ盛り。僕のゼミ生も例に漏れず今頃になって慌てふためいているのだけど、中にはとても面白そうな卒論を進めている学生さんがいる。

その中の一人は、都道府県別の肥満率の差異を、飼われているペットの種類、で回帰しようという試みを行っている。具体的には、県別の「ペットとして犬が飼われている」「ペットとして猫が飼われている」の割合のデータを使用する。犬は飼うと散歩が必要なのに対して、猫は散歩が必要でない、だから、犬が多く飼われている県は猫が多く飼われている県よりも肥満率が低くなるだろう、というロジックである。(逆の因果性についても考慮が必要である。そもそも肥満でないから、猫よりも犬をペットとして選んでいるのかもしれない、からだ。)

こういう研究は僕は個人的に大好きだ。素朴な発想を、それなりの学問的なツールを使って明らかにしてみせようという、その態度自体に好感が持てる。不思議なことに「卒論」と言うと、あまり真剣に考えていない学生さんほど、アカデミックな学問ぽいテーマを選ぶことが多いようだ(やる気や知識のなさを、テーマの堅さが補ってくれると考えているのかもしれない。当然、そんな甘い話ではない)。

僕の密かな楽しみとしては、『もし犬を飼うことが肥満を抑制することに繋がるのならば、(少々paternalisticだが)政府は国民の肥満を抑えるために、ペットとしての犬に補助金を与えれば…、って綱吉かよ!』という一人ツッコミの一文を、彼の卒論の註にでも入れてもらうことだ。これは冗談。
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今週の日曜日、名古屋大学において開かれる応用地域学会名古屋大会の準備も何とか終わる。プログラムには論題が"Firm Incentives for Environmental R&D under Non-cooperative and Cooperative Policies"と書いてあるが、論文のタイトルを"Environmental Innovation and Policy Harmonization in International Oligopoly"に変更している。討論者は南山大学の寳多先生。

報告スライドは以前別の学会で前バージョンを報告したときに使用した英語のものを、新たに日本語に書き直した。指導している学生さんには、普段から「もっと図解されていて、良いビジュアルの、インパクトのあるプレゼンの資料をつくってください」などと指導している割には、自分のものは無愛想につくりたくなる。ビジネスのプレゼンにないような「無骨ぽさ」を演出したくなるのは、なぜだろう。

ここでの報告が終わり次第、頂いたコメントや反応を組み込んで、投稿しようと考えている。どのような投稿先が考えられるのか?についても、学会で諸先生方からアドバイスが貰えれば嬉しく思う。
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